top of page
TTPI+
Tsutsuba Taizan Photo Instruction +
※編集でも加工でも何でもできるデジタル画像の時代だからこそ、写真というものについて深く知る必要がある。
写真の力とは…
●このサイトはスマートフォンには対応していません。PC版サイトでご覧下さい。
『渡辺勇雄の世界 』
俗に、えもいわれぬ良い香りなどという風に使われるこの「えもいわれ
ぬ」であるが、何と表現したらよいのか分からないという意味から「得も
言われぬ」と書かれることが多いようである。写真を写す目的は人さまざ
まだが、言葉で語ることのできないまさに得も言われぬ雰囲気を写し撮ろ
うとする写真家は多い。今回紹介する渡辺勇雄もその一人である。
写真を撮る上で大切なことは、目の前のものの「何」を写したいのかと
いうことなのだが、それが「得も言われぬ雰囲気」である場合は、フレー
ミングがその可否のすべてを握るといってよい。なんら変哲もない日常を
不思議な世界に変えてゆくのは、カメラでどう切り取るかにかかっている
と彼の写真は訴えてくる。また一方で、普通のもの、注目されないもの、
意味のないものを写すことで、モノや自分の存在そのものを自らに問い続
けた米国の写真家アーロン・シスキンドのように、渡辺は自分の撮る写真
の中に自身の存在意義を見つけようともしているのだ。そこに取り上げる
べきすべてがある。
わが国のアマチュア写真は、コンテスト入選を目指すあまり、審査に媚
び、目の前の光景ではなく、記憶の中に展開する憧憬画像を真似るように
追い求める傾向が強い。つまり、写真を写すという行為を自己満足を得る
ための手段と捉えがちだがそれは間違っている。正しくは、その光景に心
惹かれた自らの心の中にこそレンズは向けられるべきなのである。
ここに掲げる一枚一枚からは、写真におけるフレーミングの醍醐味と、
渡辺勇雄の写真家としての存在意義を、しっかりと見てとることがでる。
筒場 太山
bottom of page