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岡 俊介展
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岡村 繁 展
齋須 喬 展 
下坂しずえ 展
『渡辺勇雄』展

『渡辺勇雄の世界 』

 俗に、えもいわれぬ良い香りなどという風に使われるこの「えもいわれ

ぬ」であるが、何と表現したらよいのか分からないという意味から「得も

言われぬ」と書かれることが多いようである。写真を写す目的は人さまざ

まだが、言葉で語ることのできないまさに得も言われぬ雰囲気を写し撮ろ

うとする写真家は多い。今回紹介する渡辺勇雄もその一人である。

 写真を撮る上で大切なことは、目の前のものの「何」を写したいのかと

いうことなのだが、それが「得も言われぬ雰囲気」である場合は、フレー

ミングがその可否のすべてを握るといってよい。なんら変哲もない日常を

不思議な世界に変えてゆくのは、カメラでどう切り取るかにかかっている

と彼の写真は訴えてくる。また一方で、普通のもの、注目されないもの、

意味のないものを写すことで、モノや自分の存在そのものを自らに問い続

けた米国の写真家アーロン・シスキンドのように、渡辺は自分の撮る写真

の中に自身の存在意義を見つけようともしているのだ。そこに取り上げる

べきすべてがある。

 わが国のアマチュア写真は、コンテスト入選を目指すあまり、審査に媚

び、目の前の光景ではなく、記憶の中に展開する憧憬画像を真似るように

追い求める傾向が強い。つまり、写真を写すという行為を自己満足を得る

ための手段と捉えがちだがそれは間違っている。正しくは、その光景に心

惹かれた自らの心の中にこそレンズは向けられるべきなのである。

 ここに掲げる一枚一枚からは、写真におけるフレーミングの醍醐味と、

渡辺勇雄の写真家としての存在意義、しっかりと見てとることがでる。

 

                          筒場 太山

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